ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
背中を向けて…
歩き出す早瀬。
手だけをひらつかせて、
少しだけ…早足で。
「………またね!!」
小さくなって行く背中に、思わず…
そう、叫んだ。
届いたのか、届かなかったのか…わからない。
君の姿が……見えなくなった頃、
手に握り締めた携帯が…鳴り出した。
「…………。ショートメール?」
送り主は……
『またね。』
どうやら…
早瀬。
「………。聞こえてたんじゃん…。」
私は、その場へとへなへなと…しゃがみこんだ。
大きな緊張から…開放されたのか。
大して飲んでもない癖に…、ふわふわと酔いが回ってくるみたいに。
夢ではない、
そう思いたいのに…、現実味がない。
携帯を…操作して。
最後に、決定ボタンを押す。
ショートメールの送信者に、
『早瀬映志』
と…
彼の名前が、刻まれた。
「めちゃくちゃ…嬉しい、か…。」
自分も同じ気持ちだって…
どうして言わなかったんだろう。