ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
「しかしまあ…、紗羽ちゃんが帰って来てるとはオドロキだったよ。」
「まあねー、まさかすぐに会うことになろうとは予測できなかったよ。」
若者や親子連れで溢れ返る店内で……、
私達は仕切り直しを図って、話の口火を切る。
浅沼真哉は……、
高校で初めてできた男友達だった。
デカイ恐面の風貌と裏腹に……、
惚けたオッサンキャラで、お姉さんがいるせいか…女ゴコロというものを心得ている。
私が「ちゃん」付けで呼ばれる由縁は…
彼に始まる。
当時は私と二人、コントのようにして…
色気ない絡みを繰り返していた。
それから、ボケと言ったらもう一人……。
色白で、のほほんとした顔立ち。
仏のように広いココロで……
ちくりと棘を刺す、寺の住職の息子…
羽賀 恒生。
ウチら3人がボケ倒すのを…冷静に突っ込むのが、みっちゃんの務めだった。