ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
私は、ゴールラインに立って…
子供達の、バトンパスの応対係。
職員や、役員がコーナーを囲んで。
ピストルが……鳴った。
強い雨。
妨げる視界をものともせずに……子供達は、駆けて行く。
泥を弾いて、
力強く……。
見据えているのは、友達が待つ…ゴールだけ。
気持ちが全面に出て、なんメートルも先から…手を伸ばして走る子もあった。
練習では、いつも同じクラスが勝っていて。
だけど、子供達の気持ちは…次へと向かっている。
「今度は勝つ!!」
そう言って、
新聞紙で作ったバトンを持って…毎朝ホールでリレーごっこをする子もいた。
勝っても負けても…全力投球。
それが、こらから生きていく上での…力になる。
1位のクラスは、相変わらずダントツで……
最終走者へと、バトンを繋ぐ。
保護者や先生達の応援の渦の中…
アンカー達は、ゴールテープへと向かうけれど。
最後のコーナリング…。
ぬかるんだ地面に足を取られて……
1位を走っていた子が、転んでしまう。
「立てっ!!」
大きな…声。
転んだ男の子は、その声の主を確認する素振りも見せずに、すぐさま立ち上がると……
真っ黒になった手足を、必死に動かし始めた。
彼がゴールに入ったのは……一番最後。
友達の背中を見たことがなかったその子は、
呆然として……
ゴールに立ち尽くしていた。
担任の先生が、彼を抱き締めて…
今にもこぼれそうな涙を…堪えていた。
ドラマが……あった。
思うようにいかないことだってある。
頑張りが実を結ばないことだってある。
だけど……、仲間のために、自分のために、全力を尽くして。
悔しさを感じることができるならば……
必ず、その子の力に…変わるのだ。