ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
「……同窓会かあ…、つまりは私達幹事?」
「そういうことになるね。紗羽ちゃんが番号変わってなくて良かったよ。」
「そっちこそ。高校から番号変わってないね。」
「「……………。」」
つまりは。
お互いに…番号を消してはいなかったって訳で。
恒生さんの鋭い視線が…私達に付き刺さる。
「…こ、恒生さんは住職なの?永〇寺に修業に行ったんだよね?それ以来会ってなかったから……。」
「辛い2年間だったよ。あの禁欲を経て、今の俺がある。」
「……でも、坊主頭じゃないんだ?今時髪型は関係ないんだ?」
「まあ、俺はまだ副住職だからね。親父がバリバリの住職。」
「なっつかしーな。お父さん元気?」
「うん。もう嫁にメロっメロ。」
「「…え、嫁…?!」」
私とみっちゃんが…声を揃える。
「結婚して子供もいるんだよ、こいつ。しかも…、男のコ!羽賀家は安泰な訳。だから…余裕しゃくしゃくなんだよな、ムカつくことに。」
「へぇ~…、そっか。」
…ちゃっかりしてる。
いつも謎だった彼にも…
ちゃんと彼女がいて、幸せな家庭を築いていたんだ。
「……後光が見えるわ…、眩しいッ!」
わざと目の前に手を翳すと。
「………。そりゃあ眩しかろう。」
恒生さんは満足げに微笑んで、
それから……
ひょいっ、と。
頭の毛を……取った。
「「……………?!」」
現わになった…ボウズ頭。
「ま……、眩しいっっ!!」
まさかヅラを被っていようとは……。
一本取られた!
呆気に取られてボー然とするみっちゃんと、大爆笑する私。
「人の固定観念ってすごいでしょ?二人とも気づかなかった。」
「高校時代はそーゆーフサフサ髪だったもんね。まさかハゲてるだなんて、…フケたね。」
「…………。……ハゲを隠すにはハゲにするのが一番!……って、佐田、そろそろ突っ込もーか?」
「…………。…………展開に…ついていけなかった。やだなあ、私もフケたね。」
「「「…………。」」」
「…てか、本当はやっぱり緊張してて…。会ったらどんな顔しようかと思ってたけど……。……良かった…。変わってない、ちっとも。……良かったぁ……!」