ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
「……やるね、紗羽ちゃん。」
「……。そっちこそ。」
大人の睨めっこは……
駆け引き。
目を逸らした方が…負けだ。
「………あ…。矢代先生。」
…………!
「えっ!!」
思わず…、君から視線を外して。周囲を…見渡す。
「……うっそー♪…俺の勝ちだ。」
嘘かよ!
「……!卑怯だよ、今のは!」
焦ったじゃないか。
「何とでも言えー。紗羽ちゃんが誘惑するからでしょ?」
「はあ~?」
「……ぷぷっ…怒った顔、初めて見た。」
「…………。」
「あほー。スッゲー可愛いし。」
うりゃ、と…
首の後ろをホールドされて。
拘束された…数秒間。
さっきよりも、甘く、深いキスが……
私の思考を、停止させていた。
「……残念。これでノーカウントにはできないネ。」
「………学校の前…!」
「…そーだね。でも、大丈夫。人居ないことは確認済み。」
「……え。」
「……バカだねえ、紗羽ちゃんは。確信犯だっての。」
「………!!!」
「……じゃあ、俺はガッコーに戻るけど。…紗羽ちゃんは?」
「………か…、帰ります!!」
「そう?じゃあ、気をつけてー。」
「………うん、…じゃあ。」
手を振る早瀬の背中を…
ぼんやりと、見送る。
職員玄関に手をかけた所で。
君は…振り返った。
「………なんかさ、」
「……?なーにー?」
「なんか、名残おしーね!」
「…………!」
「なーんて……。じゃーな!」