ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。


「……やるね、紗羽ちゃん。」


「……。そっちこそ。」





大人の睨めっこは……

駆け引き。



目を逸らした方が…負けだ。










「………あ…。矢代先生。」

…………!

「えっ!!」




思わず…、君から視線を外して。周囲を…見渡す。





「……うっそー♪…俺の勝ちだ。」


嘘かよ!



「……!卑怯だよ、今のは!」


焦ったじゃないか。




「何とでも言えー。紗羽ちゃんが誘惑するからでしょ?」


「はあ~?」



「……ぷぷっ…怒った顔、初めて見た。」


「…………。」



「あほー。スッゲー可愛いし。」





うりゃ、と…


首の後ろをホールドされて。



拘束された…数秒間。






さっきよりも、甘く、深いキスが……




私の思考を、停止させていた。






「……残念。これでノーカウントにはできないネ。」





「………学校の前…!」


「…そーだね。でも、大丈夫。人居ないことは確認済み。」


「……え。」




「……バカだねえ、紗羽ちゃんは。確信犯だっての。」



「………!!!」





「……じゃあ、俺はガッコーに戻るけど。…紗羽ちゃんは?」




「………か…、帰ります!!」







「そう?じゃあ、気をつけてー。」


「………うん、…じゃあ。」








手を振る早瀬の背中を…

ぼんやりと、見送る。





職員玄関に手をかけた所で。


君は…振り返った。







「………なんかさ、」



「……?なーにー?」




「なんか、名残おしーね!」



「…………!」




「なーんて……。じゃーな!」






















< 235 / 457 >

この作品をシェア

pagetop