ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
それでもどこか腑に落ちないのは……、
今、ここにはいない彼の姿が…
他の人から語られているから。
私の知らない、もう一人の早瀬が……
存在していたのだから。
「……あ~も~…、何なのさ、早瀬映志。……懐かしいね。…元気かなあ?」
今彼は……
どこで、何をしているの?
「さあ…?アイツのことだから、どっかで要領よく生きてそ~。」
………え。
「………。連絡…、取ってないの?」
「……。え。」
「しんちゃん、仲良かったじゃん。」
「……うん。てか、紗羽ちゃんは?」
「……とってない。」
「………。マジで?」
「……うん…。」
正確には…取れなくなったって言うのが…正しい。
高校を卒業後…、
彼は、母親の地元である大阪へと…引っ越した。
皆から惜しまれつつ、この地を去った。
そこまでは。
ここにいる全員が…知っていること。
だけど……、そのあとは?
きっと…
大学を出て、
社会人になって、
………それから…?
「まあ…、誰かは知ってるっしょ、多分。今の世の中、繋がる手段もあるだろうし、一応全員にハガキ送ろうかと思ってるし。ギリ個人情報がわかる時代だったろ?卒業生名簿誰か持ってない?」
…………。
「しんちゃん。それなんだけど…、ウチら卒業する頃ってもう名簿なくて……。」
「……エ。」
「でも、1年の時のクラス名簿があったはずだってお母さん言ってたから…探してみるよ。」
「………そっか、ん…、わかった。じゃあ…日取りとか、ハガキの内容とか決めよ?決まったら俺が作るし。」
「……うん。」
「でも……、その前に。」
「…………?」
「美那子が結婚して子供いるのは噂で知ってたけど……」
「…………。」
「紗羽ちゃんこそ、今何してるの?」