ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。



2次会の会場は…、宿の中にある、スナックだった。


入り口で会費を支払って…


お店に入ろうとしたところで。





「あ。紗羽先生、ちょっと、こっち…。落とし物。」



下って来た階段の上から、早瀬が…名前を読んだ。


「……?何ですか?」


にこにこと…手招きしている。




「紘子先生、先に行ってて下さい。後で行きます。」



紘子先生にそう断って…階段を、かけ上がる。





「なに?落とし物って。携帯はあるし……。」


袂を確認しながら、早瀬と対峙すると。







「あはは、嘘だし。」


腕を組んで、笑い飛ばす。



「……はあー?もー、しょうがないな、もう行くよ?」


私は階段の手すりに手を置いて。

くるり、と体を翻した所で…。



「……紗羽ちゃんは……こっち。」




早瀬に、ぐいっと…腕を掴まれた。







「……じゃあ、行きますか♪」



「エ?どこに?ってか、二次会は?」



「いーじゃん、ふたりで二次会も。」




早瀬はそのまま…私を連れて、


周囲を警戒しながら…歩き出した。





「……見つかったらマズイからな、俺、幹事だし。」


「なら……」


「まあ、いいじゃん。ここの温泉街の景観、夜も綺麗なんだって。折角来たのに…もったいないじゃん。」


「…………。」



「……だから、行くぞ。」


「……う、うん……。」




握られた腕が、熱を帯びていた。




強引で、自由で…。


勝手気まま。




だけど…、やっぱり。




ワクワクしてしまう。







「きっと、夜風が気持ちいいよ。」




熱くなった体を。

酔いを…

さましてくれる風を。


浴びにいくのも…悪くない。








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