ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。



『間もなく…2番ホームに、9時10分発東京行き…………』


構内に、アナウンスが流れ…


遠くから、新幹線が来る音が…響いてきた。





カタン、

カタタン…


カタン…

カタタン…


次第にその音は…大きくなって。



脳裏に…



あの時の光景が、浮かんできた。






電車の音に掻き消されたはずの…私の声。





『紗羽ちゃん』と、呼ぶ…君の声。



『会えて良かった』と…君は、確かに私に…そう言った。





私達は、同じ言葉をもって…



この場所で、別れた。





もう、あの日には戻れないけれど…



君に会ったら、何度でも…同じ言葉を伝えるだろう。


どんな結果が待っていようと。



出会えたことに…後悔はないのだから。






でもね、今度は…少し、違う。

















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