ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。






空が、とても青い…

真冬の…ある日。




黙々と…製造ラインの確認を行って。



熱が籠る現場で、ズレたマスクを…直して。




それから、



胸に着けた…肩書きの書かれた社員証。



斜めになった…それも。



正しい位置へと…戻す。





『製造部主任 浅沼真哉』










大人になってからの日々は、そうも…刺激もなく。


流れるかのようにして…


1日1日が過ぎていく。





それは、安定と呼べば…そう言うことだろうけど。





少々退屈だってことも…否めない。






ある程度の地位を築いて。



後輩社員に…ある程度の威厳を見せて。





キッチリカッチリ事を進めるのは…



本当は、性に合わないけれど。



もう……、子供でもない。






得意先の営業に愛想笑いを振り撒いて。





疲れきっていた…



昼休み。








「お昼、いってきます!」



奥さんの愛妻弁当を頬張る部長に…そう断って。




俺は…、



外へと出ていった。









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