ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
新入社員を迎えた…
春。
工業団地の一角に、満開に咲き誇るのは…ソメイヨシノ。
会社の窓から見える、八重桜の芽が…ふっくらと膨らんで来る頃。
その、生長をのほほんと見守るのが…俺の日課になっていた。
高校上がりの若者に、指導するのも…俺の役目で。
温暖な気候とは…裏腹。
彼らの成長をのんびりと見守れるほど…温厚ではない。
募るイライラを…
煙草でごまかし。
何とか…平穏を保っていた。