ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
かわいい虹が描かれた…園バス。
「おはようございます!」
「おはようございます。行ってらっしゃい!」
「行って参ります。」
5月中旬……。
それに添乗していた私は、園児を乗せつつ…
お家の方へと、深々とお辞儀をする。
入園当初は泣き叫んで、なかなかバスに乗ることができなかった年少児も……、
今では、自分の席に腰を下ろし、窓から小さな手を振って。
お家の方とバイバイできるようになっていた。
その一方で。
「行かないッ、乗らない………!!うわぁあ~ん……!!!」
…………。
GWが明けて、生活のリズムが変わったことで……
不安定になるコもいたりして、
賑やかな日々は…いつまでも続いていく。
「紗羽先生、次の麗奈ちゃんお休みだから、ルート変えていくね。多分時間早まるから、園に連絡して龍斗くん家に電話入れてもらって?」
バスの運転手さんにそう促されて。
私は、バスに取り付けられている『無線機』へと…手を伸ばす。
「多分10分くらい早くなると思う。」
「はい、わかりました。…幼稚園どうぞ、幼稚園どうぞ。」
『はい、こちら〇〇幼稚園です。』
「…1号車です。今、次の龍斗くん家に向かって〇号線を北上していますが…10分くらい早く到着しそうです。連絡をお願いします。」
『はい、了解。』
無線機から返ってくる声に。
年長児が…にこにことしている。
「紗羽先生!今のって…、ゆうこ先生の声でしょ?」
「おお…!あたり~!よくわかったネ。」
子供達は、機械を通した声でも……
誰かがわかってしまう。
それが担任の先生だったら、なおのこと。
築き上げられた…信頼の『証』である。