ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
電話を切って。
俺は、大きく…息をついた。
恒生は、二人の結婚に…驚いてなどいなかった。
まるで、何もかも悟っているかのように…
知ったような口ぶりで。
元々、こういうヤツだと…分かってはいるのに。
今日は…やけにそれが、鼻についた。
次に電話を掛けたのは……、美那子。
俺は、ここで…トドメを刺される。
もうすでに。
友人達の間では…
祝福ムードになっているのに。
俺だけがまるで何も知らなくて。
蚊帳の外で。
取り残された…みたいで。
「………………。」
俺は…ペンをとって。
返信用のハガキに…
文字を書き連ねる。
『ご欠席』に、二重線を引いて。
『ご出席』の、『ご』の字だけに…また、線を引いて。
大きく…丸をつける。
こんなにモヤモヤして、頭に来て、ボイコットしてやろうかとも…思ったけど。
案外俺は…
常識人で。
それから、そんな勇気も…ない。
だけど、
俺はまだ。
「おめでとう」とは…
言ってはやらない。
ささやかな…反抗だ。