ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。






やがて、運転手さんは予告通りに……


大通りを右折して、いつもと違うルートへと…進入する。







「……………。」



あまり広いとは言えない…道。



用がなければ、通ることがないであろう道路。






……が……、






「………あれ……?」



窓の外、


流れていくその景色に……



ひとつだけ、


見覚えのある看板……。






「…………。」




確かにそれは……



見たことがあった。





塗装のハゲた…看板。








『目印になるもの?ああ…、あるある!看板!』





そう言われて……、


探し出した物だ。







私は記憶の糸を辿り寄せながら……、



外の風景へと…目を見張る。










だけど……


その看板以外に、それと言ってピンと来るものはなくて。


続いていく…



住宅街。








『青い屋根。コバルトっぽくて目立つから…すぐわかるよ。』





ふと、思い出した言葉…



その通りに、



目の前に映し出される……



鮮やかな青。






「…………!あそこ…!」









一瞬すぎて…、その、佇まいなど見る余裕もなくて。






ただ……、





思い出したのは。








「……早瀬の家…?」




淡い、ブルーの……




記憶。









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