ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
夏の午後は―……長い。
私と早瀬は…手を繋ぎ、
早瀬は、ブルーを連れて。
住宅街の道を…歩いていく。
「次の休みは、テーブル買いにいこー。」
「早瀬の部屋のやつでいいんじゃない?」
「だーめ。折角の憩いの場なんだから、二人で選んだのがいー。」
「変なとこにこだわるよね、早瀬って。」
「紗羽はこだわらな過ぎ。もーちょい自覚しなって。」
私より少しだけ…高い位置から。
君はじっと……横目で見下ろして、
「あのね、そもそもウチに『早瀬』は何人いると思ってんの?」
挑戦的な言葉を持って…ニヤリと笑う。
「……。何の催促ですか?」
「だって、……なあ、ブルー?折角仲間入りしたのになあー?」
ブルーを味方につけて。
素知らぬ顔して…ドキドキさせる。
イタズラ好きの、私の初恋の相手は。
『早瀬』。
変わらない心の、象徴なんだけどなあ……。
「………。やっぱ自転車でこれば良かったかなあ…。コンビニ、案外遠いね。」
額には…うっすらと汗が浮かぶ。
「あと、どのくらいあるかなあ……。」
真っ直ぐの…一本道。
似通った家が建ち並ぶ…
見慣れたような、そうでもない…景色。
近づいては離れていく、ユラユラとした逃げ水を…追うようにして。
私は、ペースを早めていく。
「………。目印が見えたら…もうすぐ。」
背後からは――…、君の、声。
……うん。
そうだね、確かに…そうだった。
見覚えのある、ソレに向かって…
私は、駆け出して行く。
「………映志!」
「………んー?」
「あったよ!……看板!」