ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
ある日の…朝。
違和感を感じて、ふと……目を覚ます。
「…………。……ん?」
隣りに寝ているハズの…彼女。
ぷにぷにしているはずの…その、二の腕。
イタズラしてやろうと、まだ、重たい目を…閉じたまま。
手探りで掴んだソレは。
実に…筋肉質で。妙に…固い。
おかしい。
直感的に、そう悟った俺は…パチリと目を開けた。
「……………!!」
だ……、大根。
そう、ソレは。
間違いなく…
大根だった。
ご丁寧に、目と口までかかれて、
布団をめくり上げてみれば……
「………ぶっ…!」
先っちょがちゃあんと二股に分かれた大根足!
朝から…大爆笑!
俺はソレを持って、キッチンへと行くと…。
「おはよう。」と、いつもと何ら変わらない笑顔で、彼女は挨拶した。
でも、視線は…大根。
……うん。
あまりに可愛いから、取り敢えず…背後から、ぎゅっと抱き締めてみる。
照れたのか、すぐに体を剥がして、
「ご飯出来てるから…、食べてて。ごみ捨て行って来る!」
そう言って、慌てる彼女に…
俺は一先ず確認する。
「その格好で?」
「……?ジャージにチョンマゲはいつものことでしょ?」
まあ、ソレはそうだよね。
因みに、今朝の朝食には―…。
大根下ろしも用意されていた。
数分後。
ゴミだしから帰って来た彼女は…
息を巻いて、俺の元へとやって来た。
「ひどいよ、バカー!!」
おっと。
気づいたか。
彼女の手元には…ペロン、と、一枚の紙。
さっきハグしたついでに、背中に貼ってみたんだ。
『私は、大根足ではありません。』