ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
そのまた、別の日の…夜。








「さっみー……。」


晩秋の夜は…めっきり冷え込んで。

部活の指導で体に籠った熱が。一気に…奪われていく。


何度も手を擦り合わせて、その、かじかむ指先で…メールをうつ。


『今から帰るよ』



数分後には…、


ラインで、スタンプがひとつ。

親指を突き立てた得体の知れないボウズ頭。



「………。恒生か、これは。」



ウチの嫁がスマフォを買ったのは…最近のこと。


メール不精な彼女には、スタンプひとつで済むこの連絡方法は…うってつけだった。



ただ、どう突っ込んでいいのか分からないモノばかりを…返信してくるけれど、まあ…、それもご愛敬。


全く連絡を取らなかった10年間のことを考えれば…

どうであれ、嬉しいものだ。








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