ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
そんなこんなで、家の前に到着した俺は…自転車を降りて。


バルコニーを……見上げる。




「………?あれ?」



いつもなら。


煌々と光を放つリビングが―…、今日は真っ暗だった。


おまけに、自転車を停める音を聞き付けると、直ぐにバルコニーに飛び出して来るハズの彼女が…いない。



一応携帯を確認するけれど、メールはおろか、スタンプだって…来てはいない。



「出掛けてるのか。」



いつもいつでもここにいるってワケじゃあないから、大して気にも留めず…


階段を上って行った。



玄関のドアは…鍵がかかっていた。




持っている合鍵で解錠して。


やっぱり真っ暗な家の中へと…足を踏み入れる。



一先ず、パチッと音を鳴らして。


ライトを点けると………。






「……………!!」





出迎えたのは……




真っ赤な顔した…












人参。






もちろん、目や口が描いてあって。

しっかりと……


二本足。




「……デジャヴ…?」



横たわっている人参夫人の隣りには。


こりゃまた、ご丁寧に……

吹き出し型のメモ。



『おかえり』って……書いてあった。





「……ってか、いるんじゃん?」






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