ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
青く、突き上げるように――…高い空。
風にパタパタと仰がれる、万国旗。
絶好の…
運動会日和。
晴天の空の下。
母校のグラウンドの真ん中に、私は…立っていた。
「お疲れ様です」と、互いに挨拶を交わしながら、保護者達が…それぞれに散って行く。
立ち話する者もアリ。
帰宅を急ぐ者も…アリ。
皆、自分の子供の為に…早朝から、会場設営に協力した人達だった。
「みっちゃん、お疲れー!」
頬にピタリ、と。
よく冷えた…缶コーヒーをあてられて。
振り返ったそこには――…
早瀬くん。
「お疲れ様。」
何故彼がここにいるのかっていう疑問よりも。
この、光景に…寧ろ馴染んでいるっていう…不思議な人。
彼は、プルタブを開けて。
ぐびっと一口…コーヒーを飲んだ。
喉仏が上下に動いて、妙にサマになる、その姿を…
じっと見つめた。
「みっちゃんの子、年少だっけ。」
……不意打ち。
私は慌てて視線を反らして。
同じように、一口…口に含む。
「うん。」
「今年は…晴れて良かったね。」
「………うん。」
今年…、は?
「みっちゃんさー…。今、俺が何でここにいるんだって…思ってんでしょ?」
「………うん、まあ。」
「…俺もイチ、保護者だしね。」
「………へ?」
「紗羽ちゃんの。」
「……………。」
昔も今も、ストレートな人だなあって…思う。
間違いなく冗談なのに、真っ直ぐな想いを…織り混ぜて。
さりげなく人の心を奪ってしまう…。
「はいはい、言ってなさい。どうみても、テント設営にかり出された人って感じだったけどね。」
「なーんだ、ばれてた?」
勘もいいし、器用。
でも…、こうして、ボケに回るから――…。
突っ込み役の私は…応戦に困る。
根は…、優しいと思う。
テントを設営しながらも、周囲への気配りも…忘れない。
会話をしながら、ひょいっと重い荷物を持って上げるとか…たまに、そういう光景もあった。
でも……。
紗羽には、近づかない。
遠慮…してるのかな?
周囲の目を、気にしてる?
らしく…ないじゃない。