ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
「紗羽の所に、行かないの?」
「………。いや、別に…用があれば。」
「……ふーん?」
「あの人ってさ。客観的に見てると…面白いんだよ。」
早瀬くんの瞳は。
迷いなく、紗羽の姿を…探し当てる。
「高校ん時もそうだったけど、イチイチ楽しそーなんだよなあ…。なんてーの?ちっちゃいことでも…アホみたいに。そーいうの見てると、こっちまで笑いたくなるじゃん?」
「…………。」
「身内になって、主観的にばっか見るより。一歩離れた所からの方が…その人が、よく見える。」
それは――…
当時、くっつき過ぎず、離れすぎず…、を繰り返してきた彼らの姿を象徴しているようで…。
少し、こそばゆい気持ちになった。
「それに。簡単に手を貸したら…それが当たり前になるじゃん?一応、そこは見極めないと。」
「…………?」
「でも、みっちゃんは。近くから…見守ってやって?俺に言えないことも、みっちゃんになら…言えると思うから。」
「……え?」
「弁当作り…あるんだろ?はい、んじゃーまたね。」
早瀬くんは、空になった私の缶をひょいっと手にとって。
手をひらつかせながら……歩き去っていった。
「……ありがとう。」
小さな…気配り。
夫婦円満の……理由は。
二人がお互いの良さを…引き出しているから。
そう…思ったら、とてつもなく、羨ましく…なった。