ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。



紗羽は…、早瀬くんを見ていて。


早瀬くんもまた、紗羽を見ている。



それでも二人は、いつもタイミングをずらすから…


向き合うことは、ほとんどなかったのかも…しれない。


客観的に見ていた私は、

知っていた私は、


教えてあげれば…良かったのかもしれない。


『早瀬くん、彼女と別れたんだって。』


『紗羽も、早瀬くんが好きだよ。』


けれど、私はそれを…


伝えることは…なかった。





それは、彼がそれを…望まなかったから。





一定の距離を保ちつつも――…


二人が近づいた時には、トクベツな空気が…流れた。



笑顔で…溢れていた。




そうやって、紗羽を…笑わせていたいって気持ちは。



嫌でも…伝わって来た。







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