ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
゜·∴。°·∵。゜·∴。
なんて呑気な二人なんだろう――…。
紗羽はおろか、本日主役の早瀬くんさえ…姿のない、駅のホーム。
いてもたってもいられずに、私は…
走り出していた。
早瀬くんのお母さんの言葉を信じて、改札を1度出ると。
注意深く辺りを見渡しながら、近くの売店へと…向かった。
すると……、どうだ。
レジ袋を持った早瀬くんが、何故か…
駅を出ようとしているではないか!
声を掛けようとして。
……やめた。
どんな行動をとるのか…、見届けたいって…思ったから。
後をつけていくと、彼はタクシー乗り場の近くへと…しゃがみこんだ。
「……………?」
辺りを少し…見渡して。
それから、何故か…カップアイスを取り出して。
……食べ始める。
みんなが来ているって…、待っているって、わかっているはずなのに…、
ここにいる、理由は?
「……何してるの?こんな所で。」
「………アイス、食べてる。」
「まるで……何かを待ってるみたいだね。」
「…………。」
彼は……
何も言わなかった。
「みっちゃん。来てくれて…ありがとう。」
「……うん。でも、それを言いたい人、他にいるでしょう?」
「さあ……、どうだろ?」
最後まで、惚けたふりして…
自分の気持ちを、誤魔化すんだね…。
「……私…、先にホームに戻ってるね。」
「ん。」
「早瀬くん。……これは、私が勝手に思ってたことだけど…」
「……なに?」
「早瀬くんの側にいるときが一番、紗羽…いい顔してた。あの笑顔、好きだったな…。」
「………すげー餞別……。でも…、ありがとう。」
これが、私の…精一杯だった。
彼らがそこで会えたのかは、私は……知らない。
けれど、早瀬くんを乗せた新幹線が…線路の向こうに消えて行くのを。
紗羽も……
私も……
ただ、じっと…見送った。
あんなに…笑っていたのに。
最後に紗羽の顔を見た早瀬くんが、涙を堪えているようにも見えたのは。
私の…、気のせいだろうか?