ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
「…………。…いいな…。」
思わず ついて出た言葉に…ハッとする。
なに言ってんの、私…。
誤魔化すために、大きく一口…
あんぱんにかじりついた所で。
「…………………!」
そろり、と…ゆっくり。
視線を…ずらした。
何故なら。
確かに今…、
早瀬がこっちを見上げたような気がしたから。
取り敢えず、背中を向けて…
口に溜まったままのあんパンを、一気に飲み込もうとすると。
「う……、ゲホっ……!」
どうやら…詰まらせたらしい。
どんどん、と胸を叩いて。
涙目になるのを…必死で堪えた。
………ビックリした……。
急に、振り向くんだもん。
心の準備ってもんが…あるじゃない?
今のは完全に…間が悪いよー!
何とか…喉元を過ぎて、苦しさから解放されると。
「………気づかれて…ないよね…?」
それを確かめる為に…
また、こっそりと……
窓から目だけを…覗かせる。
「……………。」
どうやら…取り越し苦労だったようだ。
君はやっぱり背中を向けて。
何故か…マネージャーと、イチャついている。
君は…タオルを振り回して、
彼女が声を上げて、逃げ惑ってる。
「………。仲…、いいなあ…。」
余りに楽しそうに見えて。
こっちにまで…
気持ちが伝わるようだった。
ちょっと羨ましいとか、そういうのとは…別に。
早瀬が楽しそうにすると…
私も、つられてしまうのだ。
条件反射…?
途端に、
ぐるっと振り返った君は…。
真っ直ぐに、こちらを…指差す。
「………え?」
何かの間違えかって思って。
私もまた、後ろへと…振り返る。
「……………あれ……?」
その視線は。
私の背後に向けられたものでは…ないらしい。
まだ、しゃがみこんだ状態のまま。
試しに…自分を指差してみると。
早瀬は…、コクコクと、頷く。
み……、見つかった…!!
よりにもよって、彼女が側にいるときに…!
だけど……、さっきも
君はきっと……
私に気づいてる。
知ってて、知らないフリしてる。
予感が…確信へと変わる。
そう思うのは……
可笑しい考えだろうか…?
何故なら…、
君とは、何故かよく…目が合ってしまうから。
私が君を…つい、目で追ってしまうことに…
自覚があったから。