ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
「卒アル見たらさあ、入学写真に早瀬写ってないんだよ。」
「………。早瀬ってそう言えば…2年から編入してきたよね。」
名簿をテーブルに広げて……、皆に、それを見せる。
な行の長瀬くんの次は…、辺見くん。
『早瀬』の文字は…
どこにも…、ナイ。
「……忘れてたなー、そんなの。違和感なさすぎるくらいにすぐに馴染んでたってことか。」
しんちゃんが、ふぅーっとため息をはく。
「修学旅行の写真にも、クラスマッチのにも、あいつアルバムにいっぱい写ってるくせに……。」
私も……、見た。
どんな場面にも写りこんでしまうくらいに…目立つ存在だった。
サッカー部の写真では、優勝旗を手にして……仲間たちと肩を組んでいて。
キラキラした笑顔が…
君がここにいた、
そんな軌跡を…物語っていた。
「俺、フェイ〇ブックとか、mi〇iとかで繋がんないかなって思ってやってみたけど……。駄目だった。つか、ライン登録してもアイツらしき人はいなかったな……。あ、でも元カノは発見しちゃった。」
恒生さんはスマフォを弄りながら……ニヤリと笑った。
「いや、ややこしいことに手を出すなよ?」
「わかってるよ。まあ…、とにかく、全員その名簿の住所に案内状送ってみようよ。」
「……早瀬は……?」
「「「…………。」」」
恒生さんは、ふうー…と、大きく息をついて。
「誰か…大阪の引っ越し先の住所…知ってる人は?」
そう、諭すように…訊ねた。
誰ひとり……
頷く者はいない。
「……あ……、学校は?矢代先生なら、引っ越し先の住所…きっと分かるよね?」
「おー、そうだ。聞けばいいか。」
納得するしんちゃんだったけど。
「………だから、個人情報が教えて貰えない現状が…あるんだろ?話が振り出しに戻ってるよ。」
珍しく、ごもっともな意見を発する…恒生さん。
そうだった………。
「早瀬については、おいおい考えることにして…、今できることを…まずしよう。」
私達は手分けして……、封筒に、宛名と住所を書き留める。
案内状には、男子を代表して…しんちゃんの連絡先と、女子の代表して、私の連絡先とが…記載されていた。
返信用の用紙には、相手の連絡先を記載する欄を設けて……
6月中旬…、
それらを発送した。