ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。



帰ってきて…1か月。




「…アンタ、GWはあるの?」




「ん、まあね。」



「何か予定は?」



「……。ん~……。……………だね。」




「みんな帰って来ないのかしら?アンタも盆か正月くらいしか帰って来なかったもんね?」



「………。うん。そーだね。」






高校を卒業して…


仲の良かったクラスメイト達は皆…バラバラになった。




学生時代には、大型連休には帰郷して…、よく仲間うちで集まったものだったけれど。


仕事に就いてからは…そうもいかなくなった。







皆、帰って来る時期もバラバラ。


結婚して子供がいる者もいれば…


海外に赴任した者もいる。



唯一地元に残った友人が……


いつも相手してくれた。





「……みんな、帰ってこないかなあ…。」




「………。アンタはいつでも他力本願なんだから。胡座かいてばかりいないで誘えばいいじゃない。」



「………。…まだ誰にも言ってないんだよね。帰ってきたこと。」



「どうせそんなことだろうと思ったわ。」



「…………。」



「基本なまぐさだものね。みっちゃんくらいには連絡しときなさいな、いつも遊んで貰ってる癖に…。」




「………はあ~い。」






掻っ込んだご飯をごくりと飲み込んで。



母へと茶碗を…差し出す。





「おかわりお願いします。」




ご飯が…おいしい。




「…アンタ少し丸くなったんじゃない?」




母はやっぱり笑って…、



ふんわりご飯を山盛りにして、


それを手渡してきた。







シワが増えた小さな手。




腕っ節では敵わないと思っていた母も……、



今年で60歳。





「…ありがとう。」



触れた指先に、小さな温もり。





また、溢れ出る……言葉を。




おいしいご飯と一緒に、じっくりと何度も…



噛み締めていた。









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