ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
恒生さんが手にとって。
皆に見えるようにと……
それを、掲げる。
「……あ、これ、私とサワだ。」
一番窓際…後ろの席。
みっちゃんが私の机に手を置いて…しゃがみ込んでいる。
私は席に座って。
二人大口を開けて…笑っていた。
「……この景色……、教室の後ろから撮っただろ。しかも真ん中辺りから。」
「……当たり。しんちゃんの半目の世界を写真に撮ろうと思ってさ。そしたら……、よく見えるんだよ。紗羽ちゃんが笑っている所も、それから………ホラ。」
恒生さんが指さした所に……
小さく、豆粒のように…写る姿。
「………。この人は、一体誰を見てたんだろうね…。」
「「「…………。」」」
写真の人物は……
早瀬。
その、視線の先を辿ると………。
「…………。何で…。」
そこには………、
私……。
「…何で…この写真…?」
「俺が撮って…、早瀬が自分の写真に…これを選んだ。」
「……このメッセージは?」
『一枚足りなくてごめん。でも一緒に写ってるから、それで許して』
「……どういう意味?私の…写真は?」
「………。裏、みてごらん?」
恒生さんに言われた通りに……
写真を、裏返す。
「………………。」
『先生、また会いにゃしょう!(紗羽)』
その下に小さく…、
代筆、早瀬と…書いてある。
猫顔の落書きされた写真だったから……
そんなメッセージを書いた。
「俺も、しんちゃんも…紗羽ちゃんのネコ顔の写真なんて…見たことないよ。…言ったろ?写真は嘘をつかないって。早瀬は多分…、自分が撮った紗羽ちゃんの写真だけは……。人に見せたくなかったのかもね。」
「…なん…で?」
「これ見てわかんない?気持ちが…溢れだしちゃうから。」