ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。






「……早く…、青になれ、青………!」



乱れる呼吸。


膝に手を置いて……、信号が青に変わるその瞬間を見逃すまい、と…




睨めっこ。





「…なんで…こんな日に~……」



悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。







春休みになって、私が自転車を滅多に使わなくなったのをいいことに……


中学生の妹が、それに乗って、出掛けてしまったのだ。



どうせあげるものだし、全然構わないのだけど……。



その日に限っては、


大誤算だった……。




妹の自転車は、パンクの修理に出していて、家には…ない。




本当は、早めについて、少しでも……話をしたかった。




迷っていても、選ぶ選択肢などないのだから……





とにかく……、


走った。



走って走って……



走りまくった。











「………あ…れ?」




横断歩道の………先。




駅の端の方に……



見覚えのある…シルエット。



その人が、しゃがみ込んで…何かしている。





「………早瀬ーっっ!」



大声で叫ぶけど……

気づかない。





「…人違いかな…。」



携帯の時計を…見る。




新幹線の発車時刻は…もうすぐ。






早瀬がいる訳……ない。


















信号は………




    赤。







この時はまだ……、





進めなかった。









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