ナンパ男との恋〜総集編〜
これは完全に
顔を上げるわけにはいかない。

バレやしないかと
心臓が 瞬く間に早くなる。

「お前ら、そこ
俺の席。
つーか、邪魔」

戻ってきた亮くんの声が
神様の声に聞こえる・・・

「あ、川畑先輩・・・
すいません、
知らなくて・・・」

その男が立ったと同時に
亮くんが
私の姿を隠すように
腰を下ろした。

「久保も 女遊び
ほどほどにしないと
春菜ちゃんに
見捨てられるぞ」

な・・・
何で、亮くんってば
今、この場面で
そんな事を・・・

「春菜が俺を?
あははは、なわけねぇだろ。」

「輝樹くん、春菜って誰?」

輝樹の方向を見れないおかげで
まったく 状況が分からないけれど・・・

輝樹の隣に
女がいる事だけは
理解できた・・・

「お前には関係ねぇ奴。」

「えー、彼女とかじゃないんだよね?」

「さぁ?教えない」

「もう!性格悪いんだから。
早く外行こ?」

「あぁ、じゃ
亮、またな」

何だろう、
この 胸の奥が
ズーンっていう
重さは・・・

慣れてるはずの光景なのに
おかしい・・・

こんな至近距離で
会話を聞いたせい?

それとも、
私の事を 彼女って言ってくれなかったから?

自分でも 何が
ショックだったのか
分からない。

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