ナンパ男との恋〜総集編〜
「ほらよ、これ」

投げられた小さな容器。

「これ何・・?」

「コンシーラー」

「コンシーラー?って・・?」

「化粧する前に
気になる部分をカバーしますってやつ。
それ 傷跡まで隠せるやつみたいだから
それで隠れんだろ?
昔、ちょうど モデルの仕事数日前にケンカして
傷跡消えなくてな、
おふくろに かしてもらった事あったんだ」

「え?じゃあ・・
今 来てたのって・・
お母さん?」

「あぁ、春菜に会わせると
絶対 帰らねぇって分かってるから
追い返したけどな。ははは」


私ってば
挨拶も・・・せず・・・


「ほら、塗ってみっから
首見せてみろ」

「あ、うん」


こんな近くで
輝樹に・・・
こんな事をしてもらって・・・


贅沢だ・・・。
何て幸せな時間なんだろう・・


「よし、これで見えねぇだろ。
鏡見て来い」

「うん」

ひとときの幸せだったけどさ・・


っていうか・・・何、これ


「輝樹、ねぇ すごい
全然 どこか分からなくなった!」

「だろ、しばらく
これで隠せば そのうち消えんだろ」

「ありがと・・・」

「どーいたしまして」

ん?でも そもそも
これは 輝樹がした事なんじゃ・・?


・・・まぁいいか。




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