【BL】初恋いただきます。


ーーピリリリリ、と高い着信音が俺を呼んでいるようだ。


暗い、暗い視界。


何処だっけ?俺、どうしたんだっけ?


音は鳴り止まない。


続いてドアを開ける音がした。


「音がすると思ったら、帰ってたのか?声ぐらい掛けろ。…………涼?」


鳴り響いていた音が止んだ代わりに、今度は近付いてくる足音がする。



「涼、どうした?ベッドなんかに潜り込んで、具合でも悪いのか?」


ギシッと軋むベッド、続いて背中に当てられる手の感触。


ゾワッと全身に気持ち悪さが走った。


「ゃ、やめろ!」
「ーーーー!?」


思い切り手を払い、布団を被ったままベッドの隅まで後退する。



「涼?」
「やだ、嫌だ……もう嫌だ……。」


暴力だけなら耐えられる。

でもあんな辱しめを受けるのはもうたくさんだ。


「うっ………も…………嫌だ……」


“誰も愛してくれない、愛されない子は生きられない。”



「い……や………助けて」



“生きるためには愛されないと。”



ーー生きるため………だったら………



「もう………やだぁ………」



生きるのを諦めたのなら、



「も……殺して……くださ……ぃ」


こんな思いしなくて済むのかな………?



短く息を吐き出す音がした。


それから布団ごと温かな感触が俺を包んだ。

訳が分からなくて抵抗しようと抗うけど、そんなの物ともしない力で抱き締められる。



「や、だ………離し」
「ーーお前が死んだら、俺も死ぬことになるな。」


優しい声だった。
少し苦笑混じりの言葉だった。


「ーー涼、愛してる。俺は何度も同じことを言うのは好きじゃない。けど、この言葉だけは何度でも言ってやる。愛してる、誰よりも愛してるよ。」



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