【BL】初恋いただきます。
「ごめん。」
高島は開口一番に言った。
昨日の出来事があったから休もうかとも悩んだけれど、出席率を考えると大学を休むわけにもいかず……
重たい足取りで大学に着いた俺を、高島は正門で待っていた。
「西條、兄ちゃんと知り合いだったんだな……。俺、詳しい事情とか分からないけど、昨日の西條の様子から良いものではないってのは分かった。だから、ごめん……。」
「高島………違うんだ、謝らないでほしい。お兄さんが悪いことをしたんじゃないんだ。」
「でも……」
「謝らなきゃいけないのは俺の方。昨日はごめん。信じてほしい、高島のお兄さんは本当に何もしてないから。」
煮え切らない表情を浮かべる高島に笑いかける。
「俺、友人って呼べる奴全然いなくてさ。多分高島が唯一の友達なんだ。だから、いつになるか分からないけど、ちゃんと話したい。俺のこと。でも今はまだ上手く言える自信がないから、少し待ってほしい。」
「…………俺、兄ちゃんのこと好きなんだ。恋愛的な意味で好き。兄弟で気持ち悪いって思われるかもしれないけど、本気で好きなんだ。」
真っ直ぐ見つめてくる瞳に迷いの色はない。
「こんなこと人に言ったの初めてだ。」
「高島………ありがとう。」
「俺も西條のこと大事な友人って思ってる。だから待つよ。いつでも聞くから。」
ニコッと笑う表情はいつもの人懐っこい高島だ。
「高島、一つお願いがあるんだ。」
俺の提案に、高島は二つ返事で了承してくれた。
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講義を終えて、いつもとは違う道で帰路に着く。
向かったのは遊ぶ子供達が居なくなった小さな公園。
真ん中に設置されたベンチに一人の男性が座り込んでいる。
「すみません、お待たせしました。」
近付いて声をかければ、男性は首を横に振り立ち上がった。
「いいや、今来たところだから。」
「お呼び出ししてしまって、すみません。」
目の前に立つのは高島のお兄さん。
俺が頼んでこの場所に呼んでもらった。
「立ち話もなんですから」
と、目配せすれば自然とベンチに腰を下ろした。
「西條 涼くん………でいいんだよね?」
「はい。」
「一応確認で聞くけど、前に一度君に会っているよね?」
「はい。」
お兄さんは小さく、そうかと呟く。