【BL】初恋いただきます。
「毎年思うけど、いいお店だよね。」
「ああ。俺もすっかり常連になったぐらいだ。」
料理はすぐに運ばれてきた。
当然だけどナイフとフォークで食べるような物ばかり。
そう言えば、と要さんが口を開いた。
「すっかり様になったな、それ。」
要さんが指すのは俺の手に握られていたフォークとナイフ。
「三年前はどっちの手で持つのかって聞いてきたのにな。」
「……仕方ないじゃん。コース料理なんて食べたことなかったんだから。」
要さんは笑って、いい思い出だと言った。
要さんが楽しそうに笑う。
だから俺も楽しくなる。
それを教えてくれたのも、要さんだった。
「旨いか?」
「うん!」
「そうか。慌てず食えよ。」
分かってるよ、と俺は食事を再開した。