【BL】初恋いただきます。
「た、ただいま…………」
帰宅した俺を待っていたのは、玄関に仁王立ちする要さん。
「今日はバイト休みじゃなかったか?」
「うん……」
「どうしてこんなに帰りが遅い?」
そう言えば要さんに連絡入れるの忘れてた……。
「ええっと、ちょっと用事があって……」
「用事?」
「………高島のお兄さんと話してきました。」
俺の言葉に要さんはピクリと眉を動かした。
それからズカズカと歩み寄ってきて、ぎゅっと体を抱き竦められる。
「平気か?」
「ぇ?」
「何ともなかったかと訊いてるんだ。」
「あ……だ、大丈夫!」
要さんの肩の力が少し緩んだ気がした。
「要さん、俺子供じゃないんだから……そんなに心配しなくても大丈夫だよ?」
「……仕方ないだろ。加減が分からないんだ。前にも言っただろう?これが初恋なんだって。」
「ああ、そっか。そうだったね。じゃあ仕方ないか。」
何て言って笑った。
「要さんの初恋、いただきました。」
「初恋と言わず、この先の愛は全てお前のものだ。当然、お前の愛は全て俺のものだがな。」
ああ、要さんらしい言い分だ。
「涼」
優しく呼ばれる名前はキスの合図。
「ん……要さ……ん…」
「好きだ。」
初恋は実らないなんて言うけれど、そんなことないと思う。
俺がこの先手にするのは、この愛だけで……
それはきっとすごく幸せなことなんだろう。
ーEndー