【BL】初恋いただきます。
「おい、涼。いつまで入ってる気だ?」
外から聞こえた要さんの声に、我に返る。
昔を思い出してる間に長湯をしてしまったらしい。
「あ、もう上がるよ。」
「ったく…のぼせて倒れるなよ。」
呆れたように言いながら要さんは部屋の方に戻っていく。
心配して様子を見に来てくれたんだろうな。
そう思ったら何だか、くすぐったくて笑ってしまう。
バスルームから出ると入れ違いで要さんが入っていく。
俺はミネラルウォーターを片手にベッドへ腰掛ける。
心地よくて眠気が来る。
まぁ、ここで寝ると要さんが拗ねるから寝ないけど。
俺と要さんは、初めての夜から何度も身体を重ねてきた。
初めこそ何も思わなかった行為も、慣れるどころか徐々に恥ずかしくなった。
たぶん、それは……。
「それ、寄こせ」
と後ろから手が伸びてきて、ミネラルウォーターを奪われる。
振り向いたら髪は塗れたまま、上半身には何も身に着けていない要さんが、俺から奪ったペットボトルを煽っていた。
「早かったね。あー…ほら、また髪もちゃんと拭かないで」
俺は自分の肩に掛かっていたタオルで、要さんの髪を拭く。
要さんの方が少し背が高い。
立って向かい合うこの態勢では、少し見上げなければならない。
俺の成長期は終わったから、たぶんこの差は縮まらないだろう。