【BL】初恋いただきます。



「俺、けっこう真面目に訊いたんだけど」
「ああ、悪い。まさかお前からそんな言葉が出てくるとは思わなくてな。」



それから要さんは、にやりと妖艶に笑った。



「そうだな。関係的には恋人ってやつかもな。けど、」
「けど?」
「肝心なことが、まだだろう?」



要さんの指が唇をなぞった。



「言ったはずだ。感情を持て。意志表示をしろってな。」



ああ、なるほど。
そういう事か。



「俺をどう思っているのか、この口で言ってみろ。」
「わざわざ訊かなくても分かってるくせに。」
「分からないな。俺はエスパーじゃないんでね。たったの一度もお前の口から聞いたことがない。」



ほんと、こう笑う時の要さんは意地悪だよ。



「ほら、どうなんだ?」
「………」


改めて言えって言われると、妙に恥ずかしい。



「涼」


名前を呼ばれ、頭を優しく撫でられる。



「……3年前、」
「?」
「要さんが言った通りになった。」



“お前は俺を好きになる”



「……ふっ、本当可愛い奴だよ、お前は。仕方ねーな、今日はそれで許してやる。」
「んっ………」


甘い甘いキスが落ちてくる。


「要…さ、んは?」


キスの合間に訊く。


そうしたら、要さんは口を耳元に寄せた。


「愛してるに決まってんだろ。恋人なんて生温いもんじゃ足りねーよ。一生俺のもんだ。」



行為に慣れるどころか徐々に恥ずかしくなってくるのは、毎日毎日恋をするからだ。



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