【BL】初恋いただきます。
「帰ったら覚えてろって言ったろ?今朝はよくも逃げてくれたなぁ。」
「なっ……ここ大学!」
「だから?」
全く悪びれる様子のない要さん。
俺は堪らなくなって車に飛び乗る。
対して要さんはゆっくりと乗車。
「は、早く出してよ、要さん……」
「はいはい。」
要さんはクスクス笑って車を発進させた。
「明日からどんな顔して学校行けばいいんだ……」
絶対見られてた。
「学校なんて行かなくて良いだろ。」
真剣に頭を抱えてるのに、要さんはこの調子。
「良くない!」
「気にしすぎだ。いちいち人のことなんて見てないだろ。例え見られてたとしても、いい虫除けになったろ?」
「虫どころか友達も寄り付かなくなる。」
俺は溜息をついて、肩を落とした。
「買い物、そこのスーパーでいいか?」
「え……あ、うん。」
車は左折してスーパーへ入る。
車を駐車すると、頭にぽんっと手が乗せられた。
「悪かったな。ちょっと大人げなかった。」
要さんはずるい。
「大切にしてやりたい、でも同時に虐めたくもなる。人を好きになるって言うのは難しい。」
「要さんにも、難しいって思うことあるんだ……」
「当たり前だ。初めてなんだからな。」
「え?」
「だから、……初恋なんだよ、これが。」
初恋………?
要さんの初恋が、俺?