【BL】初恋いただきます。
平凡男子のモテ期
『第三章 平凡男子のモテ期』
――要さんの機嫌が恐ろしく悪い。
夕食時だと言うのに、黙々と箸を進めている。
「あの、要さん?」
「………なんだ?」
「なんか、怒ってる?」
「……別に。」
って、めっちゃ怒ってんじゃん。
まぁ、原因は分かってるんだけどさ……。
「要さん、あんなの冗談だよ。冗談。本気な訳ないじゃん?」
「………これだからお前は。もう少し危機管理をしっかりしろ。」
危機管理って…
まさか要さんに言われるとは思わなかった。
要さんの不機嫌の原因は今日の学校帰りのこと。
例のごとく迎えに来てくれると言ってくれた要さんを、俺は正門で待っていた。
ぼーっと立っていたら、いきなり声を掛けられた。
見れば、見覚えのない女学生だった。
俺に見覚えはなかったけど、相手は俺を知っていて声を掛けたようだった。
「あ、あの!」
「え、はい…?」
ちょうどそのタイミングで要さんの車が正門に停まり、中から要さんが出てきてしまった。