【BL】初恋いただきます。
「痛っ……何すん――!?」
文句を言おうと開いた口が塞がれる。
開いていたから要さんの舌が簡単に侵入してくる。
「んっ……」
自由に動き回る舌に、呼吸が乱される。
ようやく唇が解放されると、要さんがぐしゃぐしゃと頭を撫でてきた。
「ちょ……なっ……」
「生きるためだと言ったな?」
要さんが真剣な眼差しで見るもんだから、俺は無言で頷いた。
そしたら要さんは俺の大好きな笑顔になって、
「生きていてくれてありがとう。」
そう言った。
「ありがとう……?」
「感謝してるんだ。お前が今、生きていることに。生きていて俺と出会ったことに。」
要さんの手は相変わらず頭を撫で続けていて……
俺は知らず知らずのうちに涙を流した。
「そ、んなこと……初めて言われた…。ありがとう、要さん。」
要さんは笑うだけで、それ以上何も言わなかった。
きっともう大丈夫。
何度夢を見ても、この温もりを思い出せば。
きっと何も怖くない。