【BL】初恋いただきます。
「俺は涼くんより要のことを知ってるよ。だからこそ忠告。」
真面目な顔から凪さんはニコッと笑った。
確かに兄弟だし、凪さんが要さんのことを知っているのは当たり前だ。
でも、
「今の要さんを知っているのは俺ですから。」
俺だって、知ってることがある。
要さんが優しい顔して笑うんだってこと。
俺の前でしか見せない顔を、たくさん知っている。
凪さんは、ちょっと瞠目しながら俺を見た。
ちょうど観覧車が一周を終えて、ドアが係り委員によって開けられる。
俺は無言で立ち上がった。
降りる寸前、
「バカな子だなぁ…」
と言う小さな呟きが聞こえた気がした。
凪さんが俺に次いで降りる。
さっきの呟きについて聞こうと口を開いた瞬間、叫ぶように名前を呼ばれた。
「――涼!」
「要さん……」
血相を変えた要さんが駆け寄ってくる。
要さんは息を弾ませ、額に汗を浮かべていた。