【BL】初恋いただきます。
「ったく…売店前にはいないし、おまけに携帯は出やがらない。どれだけ心配したと思ってるんだ?」
そこで思い出す。
携帯、鞄に入れたまんまだ…。
売店前に居るって以降、連絡してないし。
「ご、ごめん……」
下を向いて謝れば、肩に優しく置かれる手。
「そんなに怒らないであげてよ。俺が連れ回しちゃったんだ。」
そう言った凪さんの手だった。
要さんは俺の肩に置かれた手を振り払い、不機嫌な顔で凪さんを睨む。
「どうしてこんな所にいる?」
「遊園地に遊びに来ただけだよ。悪い?涼くんとは、たまたま会ったから声掛けただけ。」
バチバチと火花が散る音がするような……。
「……この前も言ったが、俺の居ないところで涼に近付くな。」
「この前も言ったけど、俺がどこで誰に会おうと要には関係ないよね。」
この前って…家に来たときかな?
もしかして俺が買い物行ってる間、こんな話してた?
「ああ、ごめん。俺も連れ待たせてるから、もう行くね。涼くん、」
凪さんがニコッと笑いかけてくる。
「今日言ったこと真剣に考えて。冗談とかで言ったんじゃないから。」
「ぇ………」
「じゃあね。」
凪さんはそのまま片手を振り、走り去っていった。