【BL】初恋いただきます。
3009と書かれた扉の前で止まる。
ガチャッと鍵を回す音がして扉が開いた。
櫻井さんが中に入り、俺に向き直る。
「入れ。」
「あ、はい。えっと、お邪魔します。」
靴を脱いで入ろうとしたら、櫻井さんに止められた。
「違うだろ。」
「え………」
「言ったろ。今日からここはお前の家だって。」
「……えっと、……ただいま?」
疑問系の言葉に、櫻井さんは笑んだ。
口角を上げた少し偉そうな笑みだけど、何故だか優しげに見えた。
「おかえり」
たった一言なのに、どうしようもなく擽ったかった。
櫻井さんに促され、靴を脱ぐ。
中はシンプルにコーディネートされていて、主に白を基調としたリビングだった。
「こっちだ。」
櫻井さんはいくつかある部屋の一つに入った。
「ここがお前の部屋だ。」
「……え」
そう言われた部屋にはベッドを初め、机やテレビまでもが整えられていた。