【BL】初恋いただきます。



3009と書かれた扉の前で止まる。


ガチャッと鍵を回す音がして扉が開いた。



櫻井さんが中に入り、俺に向き直る。


「入れ。」
「あ、はい。えっと、お邪魔します。」



靴を脱いで入ろうとしたら、櫻井さんに止められた。


「違うだろ。」
「え………」
「言ったろ。今日からここはお前の家だって。」
「……えっと、……ただいま?」


疑問系の言葉に、櫻井さんは笑んだ。
口角を上げた少し偉そうな笑みだけど、何故だか優しげに見えた。


「おかえり」


たった一言なのに、どうしようもなく擽ったかった。


櫻井さんに促され、靴を脱ぐ。


中はシンプルにコーディネートされていて、主に白を基調としたリビングだった。


「こっちだ。」

櫻井さんはいくつかある部屋の一つに入った。


「ここがお前の部屋だ。」
「……え」


そう言われた部屋にはベッドを初め、机やテレビまでもが整えられていた。


< 63 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop