【BL】初恋いただきます。
「涼、風呂沸いてるから入ってこい。」
手を離して部屋に入った要さんは開口一番に言った。
さっきまで何でこの距離で手なんかって思っていたのに、
いざ離されると少し寂しい。
……どうしてだろ。
なんか、俺の方がワガママみたい。
部屋の奥に行こうとする要さんの服の裾を
無意識のうちに掴んでいた。
「………ん?」
要さんは疑問と驚きの入り交じった表情で俺を見る。
「いっ……ふ………い」
「なんだ?聞こえない、もう一度」
要さんは体を俺の身長に合わせて屈めた。
「一緒、に…………入りたい。」
「………ぇ」
「だから、一緒にお風呂………入りたい。」
顔が熱い。
こんな風に自分から言ったことなんてない。
恥ずかしさで倒れそう。
恐る恐る要さんの顔を見る。
目を丸くして、視線は俺を捉えたまま、固まっていた。
「あの……」
声をかけられ、要さんが次にとった行動は
俺の額に手を当てること。
「働きすぎで熱でも出たか?」
「…………違うよ。なんだよ、人がどんな思いで……」