【BL】初恋いただきます。


湯船から立ち上がった瞬間、


「馬鹿、逃がすわけないだろう。お前は――」


手を引かれ、要さんの腕の中に抱き寄せられた。


「俺の腕の中に居ればいい。」


耳元で囁かれる言葉。

浴室だから、いつもより声が響いて……

体から力が抜ける。


「ちょっ、離してよ!熱くて逆上せる!」
「安心しろ、倒れても責任もってベッドまで運んでやる。」
「それ全然安心出来な――んっ……」


俺が必死に抗議の声を上げているのに、要さんは問答無用と俺の口を塞いだ。


「せっかく可愛く誘ってきたんだ。可愛く鳴いてみろ。」
「なっ……そんなこと出来るわけ――~~~ん」
「その言葉は可愛くないな。」


要さんはもう俺の言葉を聞く気はないようで。


俺の抵抗なんて、諸ともしない。



「――涼、愛してる。」


あとは甘く囁かれる言葉を受け、意識を失わないように必死に要さんに抱きつくことだけだった。
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