【BL】初恋いただきます。


合わさっていた要さんの視線が少し下へと移る。



「凪が遊ぶ女達は、最初俺に近づこうとしてたこと。凪は俺に近づけないようにわざとやっていた。それを俺は知っていた。知っていて知らない振りをした。


大学に入ったとき、このままじゃ凪のためにならないと家を出て一人暮らしを始めたんだ。

凪には“家に誰も連れ込まない”という条件で納得してもらった。

当時の俺は他人にあまり興味がなくて、まさかこんな風に誰かを好きになるなんて思ってなかったからな。」


下げていた視線をもう一度上げて、俺と視線を合わせる。


「前にも言っただろう?これが俺の初恋なんだ。一時は凪を思う気持ちが恋なのかと考えたこともあったが、今なら違うと断言できる。アイツへの気持ちは家族としての愛だ。それを教えてくれたのは涼、お前だ。」


コツンと額同士が合わさる。


「離れていると何をしているのか、何を考えているのか、誰といるのか、少しでも俺のことを想ってくれているのか考えてしまう。不安になる。近くにいると触れたくて、抱き締めたくて、キスがしたくて、好きだと言いたくて、愛してると囁きたくなる。満たされる。ーーこれが好きになるってことだ。」
「…………要さん」



ーー同じだ。俺と同じ。


「アイツは、凪はまだ知らないんだ。人を好きになるということを。だから俺への気持ちを恋だと勘違いしている。でもいつかきっと出会えるさ。俺が涼と出会ったように、アイツにも気付かせてくれる奴が。」
「………うん。そう、だよね。」


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