好きなのに、好きだから
大学の帰り。
街はX'mas1色で賑わっている。
特に興味もないし、X'masなんてどうでもいい。
街は特別でも、私は普通。
これでいい。これがいい。
一人でやりたいことをやって、誰にも邪魔されない、なんてすてきなこと。
「ドンッ!」
いきなり前から人がぶつかってきた。
「いったぁ」
「あっ!すみません!大丈夫ですか!?」
ぶつかってきたのは男。両手には大量の荷物を抱えている。
「あっ!ケーキが…」
男は突然言った。
見るとX'mas用のケーキがグシャグシャになってしまっている。
しかも、箱から飛び出したケーキは私の服にまで被害を及ぼしている。