【完】クリスマスケーキはいらないから、浮気しようよ
先を行ってしまう背中に心の中で悪態をつきながら、後を追う。
「アユム! 待ってよー…」
私が声を掛けると、少しだけ立ち止まって待ってくれる。
私が追いつくと、
「ごめん、歩くの速すぎた」
頭に手を軽く謝られる。
こーやって、いっつもへんなとこで優しくしてきて、私の心はいつも忙しい。
そのまま、はぐれないようにって手首をつかんで歩いてくれる。
その手が、大きくて、優しくて
嫌になった。