5人で1つ!これで最強!
Act.1 5人の標的
――――ボコッ
うん、さすがにこれは痛いね。
丁度今日、俺はイジメの現場にでくわした。
もちろん、そんなボコボコにされている人をほっとけるわけもなく、柔道で鍛えた腕を相手に見せつけるためにもその現場に向かって走り出したのだった。
「なー、なにニヤケてんのお前。」
「あ、もしかして淳也くんったらドエムー?」
「殴られて喜んでんなんてマジきもいんだけど。」
イジメに立ち向かう自分を想像していた俺は、つい緩めた頬のせいでまた腹に一発蹴りを入れられてしまった。
さすがにこれじゃあもう、妄想にはしれる余裕もねぇや…
実際、柔道なんか体育の授業以外でやったこともないしイジメられてるのは俺自身なのだ。
「ったくお前も昔はモテてたのになー。」
「この顔じゃもうモテもしないよな、うはは」
俺の顔が殴られたせいで腫れ上がってるのをみて嬉しそうに笑う。
「いや、逆にカッコイイって言うんじゃないですか?ケンカの後って感じでまさに男!みたいな。」
俺はこいつら鈴木達には敬語で話すようにしている。
生意気さと挑発の意を少しずつこめて。
「調子こいてんじゃねーよ!」
またまた一発ダメージをうける。今度はスネに。
「いってー…」
さすがに耐えきれない痛みに俺は足をグッと両手でおさえた。
そんな情けない姿を見れて満足したからか、汚いツバを吐きながら鈴木達はどこかへ歩いて行った。
もう、いい加減嫌になってくる。
こんな人生なら、なかった方がまだマシだ。