スイーツ×デイズ
いつもは車両の真ん中くらいにいて、つり革を掴んでいるのに。


それでもって。


目が、合ってしまった。


――ドクン!


今までに感じたことのない強い鼓動を覚えた。


つぶらな瞳。


その瞳と同じ色の黒い髪が、白い肌に映える。


すると彼女は、ぺこっと会釈をしてみせた。


ボクも会釈を返した。


この間、本を拾ったボクのこと、覚えててくれたんだ。


そのあと、スッと目をそらされたけれど、ボクの中はまるで花のブリザードが吹き荒れるようだった。
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