魅惑の果実
笑っていると男性と目が合い、シャキッと背筋を伸ばした。


な、何?


上から下までくまなく見られてる?



「へー……珍しい。 いつから趣味変わったんだよ?」

「ただの子守りだ」

「ただの子守りってなに!? 酷くない!? ほんっとムカつく!!」



凄く傷付いた。


ここで言い返さなかったらその事に気付かれちゃうから、犬の様に吠えるしかなかった。


だったらあのキスはなんだったの?


ねぇ……凄くドキドキして嬉しかったんだよ?



「何、この子スゲーな。 お前にこんな口きく女初めて見たわ」



私にこんな口きいていいっていうのは、私のことを子供だと思ってるから?


怒る対象にもならないってこと?



「あ、初めましてー大雅(たいが)でーす」



大雅さんは私の隣に立つと、手を差し出してきた。


握手?


恐る恐る手を握った。



「美月です。 宜しくお願いします」

「いやー、美月ちゃんってちょっとタイプかも」



え!?


まさかのバイ!?



「んぎゃっ!!」



ガバッと抱きつかれ身動きが取れない。


可愛い顔してやっぱり正真正銘男だった。





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