魅惑の果実
「そいつに触れるな」

「あれま、めっずらしー。 明日大雨?」



桐生さんの顔が真剣で、どきっとした。


そんな顔でそんな事言わないでよ。


そういうことするから、私が勘違いしちゃうんだよ。



「あーはいはい」



大雅さんから解放され、ホッと息を漏らした。


あの一瞬で大雅さんの匂いが移った気がする。



「なぁなぁ、この後飲みに行かね?」

「一人で行ってこい」

「そんな冷たい事言うなよー」



桐生さんとは正反対な大雅さん。


ぱっと見大雅さんに対して素っ気ない桐生さんだけど、二人は凄く仲が良さそうに見える。



「美月ちゃんも俺と飲みたいだろ?」



なんちゅー自信家。


それくらいの容姿をしてるけど、なんか、ちょっと呆れてしまった。



「飲みに行きたい」

「だろ? ほらぁー美月ちゃんもこう言ってるんだし、行こうぜ」



別に大雅さんと一緒にいたいわけじゃない。


桐生さんともっと一緒にいたい。


それに、大雅さんが居てくれたら、私の知らない桐生さんのことをたくさん知れそうな気がする。





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