魅惑の果実
背中に感じる温もり。


その温もりは私を惑わす。



「やめてよ!! もう嫌なの!! 私ばっかり期待してっ、舞い上がってっ……私本当に馬鹿みたい……」



期待させる様なことしないで……。


これ以上振り回さないでよ。



「桐生さんは遊びかもしれない。 でも私は違う!! 子供かもしれないけど、本気なんだよ!? 子供だって真剣に恋するんだよ!!」



目から零れる涙は止められなかった。


恋愛で泣いた事なんてない。


泣いてしまうくらい、桐生さんに溺れてる。


遊びなんかじゃない。



「高校生だと知って、距離をおこうと思ったが出来なかった」



それって……え?


どういうこと……?


呆然と立ち尽くしてると、桐生さんの腕にグッと力が篭った。



「俺といれば危険な目に合うかもしれない、それでもお前は耐えられるのか?」



何言ってんの?


馬鹿だよ。


桐生さんは馬鹿だよ。



「それでも好き……大好き……」



桐生さんの腕の中に包まれ、温もりを感じた。






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